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子供授業参観とは、子ども達自身が授業を観て、授業後に協議をして「自分たちの授業づくり」に活かすことである。高知県では、「子供協議会」「授業づくり集会」という形式で行っている。子供たちが自らの授業を振り返るのは、直接、次の授業に活かせるので重要なことだ。今回は、授業に参加した子供の協議で終わるのではなく、参観した子供たちが授業に直接「参画」するような会としていただきたいことをお伝えしたい。
教師の授業研究協議会
かつての授業は、教師が進めることが当たり前のような考え方であったので教師だけの研究会や研究協議会もそれが常識だったと思う。子供が主体的や個別最適な授業が求められる今日は、その常識はもう通じない。
「授業観」が偏らないようにと、多くの意見をワークショップ型で協議会を変えてきた。「課題」「成果」「改善策」と付箋を出し合い、話し合ったという事実を残してきた。だが、ワークショップを推進してきた私自身にも迷いがあった。ワークショップは、それまでの「授業を知っている人が中心に話す」ことを改善することには、大きな成果があった。全教師が参加でき劇的にそれまでの方法と変わったからだ。ワークショップは、価値あるものだと思ってきたが本当にそうだろうか。「大人」「教師」だけの協議だけで授業の反省をして本当に効果があるだろうか。協議はしたが、その後の授業に十分に効果があったとは思えない経験をしているからだ。肝心の「子供自身が授業の反省」をして、次へ活かすことがない限り、授業は変わらない。
子供授業研究会
子供たちが授業後に、「よかったこと」「改善すること」「次に頑張ること」等を付箋に書き、学級全体で協議をする会だ。これは、教師が「行っただけ」の研究協議会ではなく、子供自身が「振り返り」をするので次の授業に活かしやすい。高知県では、「子供授業協議会」の形式で、早10年の歴史を積み重ねてきた。十分に、その目的を発揮したと思う。ぜひ行っていない学校は、早急に取り組んでいただきたい。
参加型授業づくり集会(5.5.25高知県浦戸小学校)
子供授業研究会の発展型が「授業づくり集会」だ。これは、教師の授業研究会と同じように定例で行う学校が多い。ある学年が授業を行い、全校児童が付箋紙を使い授業を観て授業評価をする会だ。模範授業が目の前で行われるので、子供たちは、自分たちの授業に観たことを活かすことが出来る。だが、これで終わっている学校があるので少し工夫をするとよい。
①授業前に「授業を観る視点」を参加学年ごとに確認をする
4.5年の複式学級の授業を全校児童で観た。その際の参観の視点は、「1年はききかた・はなしかた」、「2・3年は話し合いの仕方」「6年は個人がどのように主体的に学んでいるか」であった。授業後の付箋紙の記述内容が良かったのはこの視点があったからだ。
②授業を参観する中で授業学級の子供と同じように「課題」等の声を出す
授業は観るだけではない。参加できることがあれば、参加をするとよい。この授業では、問題や課題の声だしに授業学年と同じように見ている子が声を出した。これは、異学年交流(イエナプラン)にもつながると思う。
③上学年は、授業中に下学年へ教える
参加者の学年が下学年であれば、上学年の子は「教える」ことも考えられる。観るだけでなく、教える人になれば、授業で分からない子も助かると思う。本授業では、6年生の子が5年生に教えていた。得意そうになり教えていた。授業づくり集会は、観るだけではない。前述した、異学年交流の意味合いもある。また、教えられるだけでなく近くの子に今はこの段階の学習をしていると説明する姿もあった。
④参観者は空いているスペースがあれば、課題解決を行う
中学校の授業の時だ。一つの班の開いているスペースがあった。授業を観ていた小学生数人が何とそのスペースで問題を解き始めた。ホワイトボードに記述し始めたことに中学生は驚いていたが私には当然のことであった。
⑤参加者も授業の中で意見発表をする
観るだけでなく、意見発表も行うとよい。
⑥授業の中の「振り返り」にも参加をする
授業後の振り返りはもちろん、授業の中での振り返りに参加する。
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